ロンドンのカムデン。誇り高き淑女“ミス・シェパード”は、路上に停めたオンボロの黄色い車で自由気ままに暮らしていた。近所の住人たちは、年老いた彼女を心配し親身に世話を焼くが、お礼を言うどころか悪態をつくばかり。ある日、路上駐車をとがめられている姿を見かけた、ベネットは親切心から自宅の駐車場をひとまず避難場所として提供する・・・それから15年。ミス・シェパードは駐車場に居座り続け、ふたりは奇妙な共同生活を送っている。彼女の高飛車な態度や突飛な行動に頭を抱えつつも、いつしか不思議な友情が生まれていた。 そして、ベネットはなぜかフランス語が堪能で音楽にも造詣が深いミステリアスなこの老婦人に作家としても惹かれてゆく・・・。
イギリスを代表する劇作家アラン・ベネットの経験をもとにした驚きの物語がついに日本公開!風変わりな謎のレディ “ミス・シェパード”を演じるのは、米アカデミー賞(R)、英国アカデミー賞を数多く受賞し、最近ではドラマ「ダウントン・アビー」でも知られる名女優マギー・スミス。舞台版でも同役を演じ「マギー・スミス史上もっともマギーらしい当たり役」と称されました。また日本でも黒柳徹子が舞台で演じ、大ヒットを記録。劇作家ベネット役に英国ナショナル・シアターやロイヤル・シェイクスピア・カンパニーなど舞台で活躍するアレックス・ジェニングス、監督は映画『英国万歳!』や舞台演出家として知られるニコラス・ハイトナーほか、英国演劇界を牽引するキャスト、スタッフが集結した。 “ロンドンの原宿”と呼ばれるカムデンにあるアラン・ベネットとミス・シェパードが実際に暮らした家で、撮影が行われたのも見どころの一つ。人間関係のしがらみや物欲にとらわれないミス・シェパードの自由な生き方は、きっと私たちの心も豊かにしてくれます。
 黄色いポンコツ車と、その中で暮らす誇り高き淑女ミス・シェパード。「・・・その高貴な香りは、彼女の“体臭協奏曲”」――劇作家ベネットは彼女の悪臭について気取った文体で構想してみた。

 ロンドンのカムデン、グロスター・クレセント通り23番地。ベネットがここに家を買うずっと前から、ミス・シェパードはこの通りで暮らしていた。ヴィクトリア時代の邸宅に文化人が多く暮らすリベラルな地区だ。住人たちは彼女に親切に声をかけたり食べ物を差し入れたりするが、お礼を言うどころか悪態をつくばかり。やがて、路上駐車をとがめられ追い立てられる日が来たとき、ベネットはひとまずうちの駐車場に車を入れてはと親切心から彼女に提案してしまった。

 ほんの一時避難にために気軽に提案したつもりが、それから15年の歳月が流れ・・・ミス・シェパードはあいかわらず高飛車な態度で、ベネット宅の駐車場で自由気ままに暮らしている。ベネットは頑固な変わり者に深入りする気はないが、やたらと音楽に詳しかったり、突然フランス語をつぶやいたりする、その謎めいた存在に作家として好奇心をかきたてられずにはいられない。

そんなある日、彼女の真実が明らかになるときが……。
1956年5月7日マンチェスター生まれ。舞台演出家、映画監督。1999年の舞台版「The Lady in the Van」でも演出を務め、盟友アラン・ベネットと共に多くの作品を世に送り出し、カンヌ国際映画祭のコンペティション部門に正式出品され英国アカデミー賞にもノミネートされた舞台「The Madness of King George」を映画化した『英国万歳!』(94)、「ヒストリーボーイズ(未)」(06)に続き、本作が3本目の映画化となる。ベネット作品のほかにシェイクスピア、リチャード・ビーンなど、新旧を問わず幅広く演出を手掛ける。1989年に初演の演出を担当し、ウエストエンドとNYブロードウェイでそれぞれ10年のロングランという大成功を収めた「ミス・サイゴン」で一躍有名となる。2003年4月から2015年3月までは英国ナショナル・シアターの芸術監督を務め、数々の功績を遺す。『ナショナル・シアター・ライヴ2014』として、舞台上演作品を世界中の映画館で紹介する企画では「ハムレット」(10)、「オセロ」(13)、『ナショナル・シアター・ライヴ2016』では「ハード・プロブレム」(15)の3本のハイトナー演出作が、日本の映画館でも公開された。その他の映画作品にダニエル・デイ=ルイス主演『クルーシブル』(96)、『私の愛情の対象』(98)、『センターステージ』(00)などがある。現在は次のプロジェクトとして新劇場の設立を手がけている。
1934年5月9日イギリスのウェスト・ヨークシャー州リーズで生まれ。オックスフォード大学エクセター・カレッジで学び、同校のマクダレン・カレッジにて現代史を教えていた。その後、1960年代から劇作家、小説家、シナリオライターとして活躍。トニー賞やローランス・オリヴィエ賞などを受賞する英国を代表する劇作家のひとり。映画では、ハイトナー作品『英国万歳!』(94)、「ヒストリーボーイズ(未)」(06)のほかに、オリジナル脚本を書き下ろしたマギー・スミス主演「最強最後の晩餐(未)」(84、マルコム・モーブリー監督)、自作戯曲の映画化『プリック・アップ』(87、スティーヴン・フリアーズ監督)の脚本を担当。『英国万歳!』、「最強最後の晩餐(未)」、『プリック・アップ』はそれぞれ英国アカデミー賞にノミネートされ、『英国万歳!』ではアカデミー賞®脚色賞にもノミネートされた。
1934年12月28日エセックス生まれ。舞台からスタートしTVや映画で約60年に渡って、観客を魅了し続ける英国を代表する大女優。英国アカデミー賞を受賞した『ミス・ブロディの青春』(68、ロナルド・ニーム監督)と、ゴールデン・グローブを受賞した『カリフォルニア・スイート』(78、ハーバート・ロス監督)で、アカデミー賞®を2度受賞している。『眺めのいい部屋』(86、ジェームズ・アイヴォリー監督)でゴールデン・グローブを受賞し、『ゴスフォード・パーク』(01、ロバート・アルトマン監督)、『カルテット!人生のオペラハウス』(12、ダスティン・ホフマン監督)などでも同賞にノミネートされた。アラン・ベネットが脚本を担当した「最強最後の晩餐(未)」(84、マルコム・モーブリー監督)や『ムッソリーニとお茶を』(98、フランコ・ゼフィレッリ監督)などで英国アカデミー賞を受賞。その他に2001年から『ハリー・ポッター』シリーズで魔法の教師ミネルバ・マクゴナガルを演じて若い層のファンを増やし、『パリ3区の遺産相続人』(14、イスラエル・ホロヴィッツ監督)、『マリーゴールド・ホテルで会いましょう』(11、ジョン・マッデン監督)などでも活躍。2010年に始まったテレビシリーズ「ダウントン・アビー」の先代グランサム伯爵未亡人バイオレット役で日本でも知られている。本作『ミス・シェパードをお手本に』でもゴールデン・グローブ女優賞、英国アカデミー賞主演女優賞にノミネート。1999年の舞台版「The Lady in the Van」でも、ミス・シェパードを演じ、高く評価された。映画、舞台、TVでの受賞も数多く、英国王室からは1990年に大英帝国勲章第2位(デイム)、2014年に名誉勲爵士を受勲している。
1957年5月10日生まれ。ブリストルの演劇学校で演技を学び、今では世代を代表して英国演劇界を牽引する中心的存在。舞台では「マイ・フェア・レディ」のヒギンス教授役などでローレンス・オリヴィエ賞を3度受賞、サム・メンデスの「チャーリーとチョコレート工場」やベネット作品など出演作が今も目白押しで、英国ナショナル・シアターのほかロイヤル・シェイクスピア・カンパニーなどでも活躍している。1999年の舞台版「The Lady in the Van」でも、アラン・ベネットを演じた。本国ではTVでもお馴染みだが、映画では『ロイヤル・シェイクスピア・カンパニー/夏の夜の夢』(96、エイドリアン・ノーブル監督)のほか、『鳩の翼』(97、イアン・ソフトリー監督)や『サハラに舞う羽根』(02、シェカール・カプール監督)に出演。『クィーン』(06、スティーヴン・フリアーズ監督)ではチャールズ皇太子を演じた。
1949年5月24日生まれ。英国ナショナル・シアターなどで舞台俳優としてキャリアをスタートした英国を代表する名優。『ヴェラ・ドレイク』(04)や『家族の庭』(10)などマイク・リー作品の常連としても知られ、『アイリス』(01、リチャード・エアー監督)ではアカデミー賞®助演男優賞を受賞。出演作は数限りないが主な作品として『ブロードウェイと銃弾』(94、ウディ・アレン監督)、『リチャード三世』(95、リチャード・ロンクレイン監督)、『ブリジット・ジョーンズの日記』(01、シャロン・マグアイア監督)、『ムーラン・ルージュ』(01、バズ・ラーマン監督)、『インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国』(08、スティーヴン・スピルバーグ監督)、『ヴィクトリア女王 世紀の愛』(09、ジャン=マルク・ヴァレ監督)、『マーガレット・サッチャー/鉄の女の涙』(11、フィリダ・ロイド監督)、『クラウド アトラス』(12、ウォシャウスキー姉弟 & トム・ティクヴァ監督)、『ウィークエンドはパリで』(13、ロジャー・ミッシェル監督)、『パディントン』(14、ポール・キング監督)、『ブルックリン』(15、ジョン・クローリー監督)、『ターザン:REBORN』(16、デヴィッド・イェーツ監督)などに出演。また『ハリー・ポッター』シリーズでも知られている。
1944年7月30日ハートフォードシャー生まれ。個性的な名脇役として映画やTVで活躍する。『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』(05、マイク・ニューウェル監督)、『アリス・イン・ワンダーランド』(10、ティム・バートン監督)、『ザ・ウォーカー』(10、アレン & アルバート・ヒューズ監督)、『ヒューゴの不思議な発明』(11、マーティン・スコセッシ監督)、イアン・マッケラン主演『Mr.ホームズ 名探偵最後の事件』(15、ビル・コンドン監督)、トニ・コレット、ドリュー・バリモア出演『マイ・ベスト・フレンド』(15、キャサリン・ハードウィック監督)などに出演。
1953年10月26日ロンドン生まれ。主な出演作に『Vフォー・ヴェンデッタ』(05、ジェームズ・マクティーグ監督)、『クィーン』(06、スティーヴン・フリアーズ監督)、『麦の穂をゆらす風』(06、ケン・ローチ監督)、『スピード・レーサー』(08、ウォシャウスキー姉弟監督)、『パイレーツ・オブ・カリビアン/生命の泉』(11、ロブ・マーシャル監督)、『マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙』(11、フィリダ・ロイド監督)、『天使の分け前』(12、ケン・ローチ監督)、『Mr.ホームズ 名探偵最後の事件』(15、ビル・コンドン監督)、『ロイヤル・ナイト 英国王女の秘密の外出』(15、ジュリアン・ジャロルド監督)などで活躍する。
ロンドン生まれ。ケヴィン・コスナー、ホイットニー・ヒューストン共演『ボディガード』(92、ミック・ジャクソン監督)、メグ・ライアン主演『恋におぼれて』(97、グリフィン・ダン監督)、ドリュー・バリモア主演『エバー・アフター』(98、アンディ・テナント監督)、『ゴスフォード・パーク』(02、ロバート・アルトマン監督)、『最後の恋のはじめ方』(05、アンディ・テナント監督)、『ミス・ポター』(06、クリス・ヌーナン監督)、『プレシャス』(09、リー・ダニエルズ監督)、『ラブ・アゲイン』(11、グレン・フィカーラ監督)、『大統領の執事の涙』(13、リー・ダニエルズ監督)、『ブリジット・ジョーンズの日記 ダメな私の最後のモテ期』(06、シャロン・マグワイア監督)などを手掛けている。ハイトナー作品では、『英国万歳!』(94)、『クルーシブル』 (96)、「ヒストリーボーイズ(未)」(06)に続いて4作品目となる。『英国万歳!』では英国アカデミー賞にノミネートされている。
1948年ロンドン生まれ。手掛けた主な作品に、ウィリアム・デフォー、ハーヴェイ・カイテル出演『最後の誘惑』(89、マーティン・スコセッシ監督)、ジョニー・リー・ミラー、アンジェリーナ・ジョリー出演「サイバーネット(未)」(95、イアン・ソフトリー監督)、「ロビンソン・クルーソー(未)」(96、ロード・ハーディ&ジョージ・ミラー監督)、『鳩の翼』(97、イアン・ソフトリー監督)、『エニグマ』(01、マイケル・アプテッド監督)、『ブライアン・ジョーンズ ストーンズから消えた男』(05、スティーヴン・ウーリー監督)、「ドリアン・グレイ(未)」(09、オリヴァー・パーカー監督)などがある。ハイトナー作品では「ヒストリーボーイズ(未)」(06)に続いて、2作品目となる。
1945年インド生まれ。『レオポルド・ブルームへの手紙』(02、メヒディ・ノロウジアン監督)、ベルリン国際映画祭銀熊賞受賞『グッド・シェパード』(06、ロバート・デ・ニーロ監督)、レオナルド・ディカプリオ主演『レボリューショナリー・ロード/燃え尽きるまで』(08、サム・メンデス監督)などで活躍。2010年『英国王のスピーチ』(トム・フーパー監督)では、アカデミー賞®、英国アカデミー賞にノミネートされ、ヨーロッパ映画賞編集賞を受賞した。
1950年10月19日ロンドン生まれ。70本以上の映画音楽を手掛けている。リチャード・アッテンボロー監督の『ガンジー』(82)、『遠い夜明け』(87)、『ラブ・アンド・ウォー』(96)、ケン・ローチ監督の、『マイ・ネーム・イズ・ジョー』(98)、『SWEETSIXTEEN』(02)、『やさしくキスをして』(04)、『麦の穂をゆらす風』(06)、『エリックを探して』(09)、『ジミー、野を駆ける伝説』(14)、テリー・ギリアム監督の『フィッシャー・キング』(91)、『ゼロの未来』(13)など著名な監督たちから愛されている高名な作曲家。『ガンジー』、『遠い夜明け』、『危険な関係』(88、スティーヴン・フリアーズ監督)、『フィッシャー・キング』で、アカデミー賞®作曲賞にノミネートされ、『遠い夜明け』ではアカデミー賞®最優秀歌曲賞にもノミネートされている。ハイトナー作品では『英国万歳!』(94)、『クルーシブル』(96)、『私の愛情の対象』(98)、『センターステージ』(00)、「ヒストリーボーイズ(未)」(06)に参加し、『英国万歳!』では英国アカデミー賞作曲賞にノミネートされた。本作のスタッフの中で、アラン・ベネット以外でミス・シェパードに会っている唯一の人物。10代の頃にベネットを訪ねた際に彼女を見かけ「奇妙で、哀しげで、いささか激しい人物」と覚えている。
主な作品にマイケル・ウィンターボトム監督の『ひかりのまち』(99)、『24アワー・パーティ・ピープル』(02)、『CODE46』(03)や、ロジャー・ミッチェル監督の『Jの悲劇』(04)、『ウィークエンドはパリで』(13)などがある。その他に『こわれゆく世界の中で』(06、アンソニー・ミンゲラ監督)、『縞模様のパジャマの少年』(08、マーク・ハーマン監督)、『新しい人生のはじめかた』(08、ジョエル・ホプキンス監督)、ジュード・ロウ主演『ブラック・シー』(14、ケヴィン・マクドナルド監督)などで活躍。